文春
大学からの友人の一人に、天真爛漫な女の子がいる。
楽しそうだからという理由で、突然ダンボール生活を始めたりするような奴だ。全国の家なき子を何だと思っているのだろうか。
そんな彼女が年末に行ったエチオピア旅行で事件が起こった。
どうやら旅行先で会社貸与のwifiを使って諸々の営みをしたらしいのだが、帰国後に会社から高額通信料を請求されたのである。
その額なんと、約1300万円
ポルシェが買えるではないか。
いやいやどんだけ通信したんだよ、8Kでエロ動画でも見たのかよ、と思ったがこの際まあ内訳はいい。
てか、会社のwifiを私用で使うなよ、と論点もあるがこれもまあいい。みなさんも大体会社貸与の携帯やPC等を私用で使いまくっているでしょう。
しかし、だ。法人間契約をしているのに、これほどまでの高額請求を全て右から左へ流すように個人に請求していいのだろうか。
彼女の会社側も、明確にwifiの個人利用を禁止する規定は設けていなかったし、そもそも通信会社との契約で通信料のキャップを設けたり、アラートを通知するようなオプションを付けるべきだろう。
現在、彼女は全力で会社ならびに通信会社と徹底的に争う姿勢を見せている。
僕だって1300万円もの失禁するような金額を請求されたら、速攻で家族との縁を切ってから香港あたりに亡命すると思う。そのくらい酷な状況なのだから戦うのは当然だ。
そんなわけで少しでも彼女の力になりたく、会社の上司である弁護士に相談をしてみた。
その男、東大法学部を卒業し、名門弁護士事務所・外資系投資銀行・海外ヘッジファンドを渡り歩いた鬼才。行列の北村弁護士とずんの飯尾を足して二で割った風貌。常にシャカシャカ早歩きで移動している天才。
お金はいくらでも持っているはずなのに、なぜか2000円の時計を買うのに2週間も迷い、軽量性および防水性にこだわった結果スーパーのレジ袋をバッグ代わりにサンダルを履いて電車通勤。
そのレジ袋の中身は、なんと海パンのみ。退社後に訪れるプール用だ。
はっきり言って、弁護士バッジがなかったらただの変態である。
独断と偏見だが全裸が似合いそうなので、「全裸弁護士」と呼ぶことにする。
さて、その全裸弁護士だが、最近ランニングにはまりはじめた。
40後半のいい年なので、所詮ジョギング程度かと思った。
ところがだ。初めてから数か月で、ハーフマラソンを1時間半を切ったのだ。
つまり、1キロを4分半以下で走るのである。恐ろしいスピードだ。
そこで先日、全裸弁護士がどれだけ早いのかを、ジムのランニングマシーンで検証した。
当方、社会人になってからまともに運動をしていないが、中高は野球等部活に明け暮れたため基礎体力はあると謎の自負。
・・・結果、5キロと持たなかった。正直あの全裸弁護士がこのような高速で動いていることに畏怖を感じる。
世の中、知力も体力も化け物じみている人はいるものだな、と実感した日であった。
なんの話でしたっけ?